ヴィンテージ コレクション
タグ・ホイヤー1500 シリーズ
サマリー
ホイヤーは1970年代後半にダイバーズウォッチ「1000シリーズ」の製造を開始し、この最初のコレクションが人気を博したことから、1982年にはよりファッション性の高い「2000シリーズ」を発表します。1990年になると、1000シリーズを廃止する準備を整えましたが、それは、ツールウォッチのようなこのコレクションの外観が、スタイリッシュな2000シリーズと釣り合いが取れないと考えられたからです。これによって、1000シリーズの実用性と2000シリーズのスタイルを兼ね備えたものとして、1500シリーズが開発されることになります。
ダイバーズウォッチ「1500シリーズ」は、先発の2つのコレクションの中間的な位置を占め、信頼性の高いダイバーズウォッチを魅力的な価格で提供することで成功を収めました。さらに、オバマ元大統領が選挙戦やホワイトハウスで「シリーズ1500」を着用したことで、このモデルは世界的に認知されるようになります。
ホイヤー初のダイバーズウォッチである「1000シリーズ」は、1978年に発表され、1991年までカタログに掲載された長寿命モデルです。その1000シリーズ のウォッチに取って代わったのが1500シリーズ。1990年に発表されたこの新しいコレクションは、1991年のカタログに初めて掲載されました。
1500シリーズは2000シリーズの下位モデルに位置づけられ、安全と信頼性を魅力的な価格で提供する新しいコレクションとなりました。1997年のカタログでは「1500シリーズは、余分な装飾を排し、本格的なスポーツウォッチのあらゆる機能を備え、シンプルで効率的なデザインに仕上がったコレクション」と紹介されています。2000シリーズのモダンな外観を踏襲し、ラグの薄型化など、よりすっきりとしたラインを実現しています。
デザイン
1500シリーズは、その名の通り、ホイヤー初のダイバーズウォッチである1000シリーズと、よりファッショナブルな外観を持つ2000シリーズを融合させたハイブリッドなデザインで、スタイルもカラーも豊富なバリエーションを取り揃えています。1000シリーズは、70年代風の大きくてぶ厚いケースに、広いショルダーと深くくぼんだダイヤルという、まさに"ツールウォッチ"でした。1500シリーズには、1000シリーズに着想を得たデザインがいくつか採用されています。
- メルセデス針(当時、全てタグ・ホイヤー ウォッチで採用)
- 円形と長方形バトン型のインデックス(1500シリーズは1000シリーズとは逆に、1000シリーズではバトンとなっている9時位置と6時位置に円形のインデックス)
- ダイヤル12時位置に三角形のインデックス
- ベゼル上の0の位置にある三角形のマーカー(ステンレススティール製ベゼルのバージョンでは、ベゼル上に6つの三角形)
- ジュビリースタイルのブレスレット
- 従来の円形ケース
- しかし、このように1000シリーズと似ているにもかかわらず、特に、ケースデザインが大幅に軽量化され、ラグも薄くなっていることから、どちらかと言うと1500シリーズは、2000シリーズを変更したような印象を受けます。
1500シリーズは、1000シリーズをより洗練させたウォッチとして位置づけられていることから、多くのモデルでゴールドのハイライトが施されているだけでなく、ダイバー向けの1000シリーズにはなかったレザーストラップのオプションも用意されています。
モデル
1000シリーズと同様、1500シリーズも3針時計のみで、クロノグラフバージョンは製作されませんでした。ベゼルは、分目盛りが付いたステンレススティール製(写真左) と、ブラックのダイバーズウォッチ スタイル(写真右) のいずれかを選ぶことができます。
1500シリーズのケースサイズは、メンズサイズ(40mm)、ミッドサイズ(38mm)、レディースサイズ(1種類) の3種類が用意されました。
1000シリーズとは異なり、1500シリーズには、オーバーサイズ やジャンボ(42mm) の選択肢はありませんでした。
ダイヤル
1500シリーズでは、通常のブラックダイヤル、ホワイトダイヤルに加え、夜光塗料を塗布したナイトダイバーモデルも登場しました。1500シリーズのナイトダイバーは、ミッドサイズケースにブラックのダイブベゼルが付いたタイプのみです。
1500シリーズで最も珍しいダイヤルは、グラナイト仕上げでしょう。このダイヤルは1500シリーズのトレードマークで、他のシリーズにはない仕上げになっています。
ムーブメント
1500シリーズは、クォーツムーブメントのみです。ムーブメントはETA 955.112 か ETA 955.114 のいずれかで、どちらも同じ7石仕様となっています。
シリーズの進化
10年近く販売されたにもかかわらず、1500シリーズは比較的変更が少なく、1998年のウォッチも1990年の発売時と基本的に同じです。1500シリーズには、クロノグラフも自動巻もありません。
長年販売されてきたこの1500シリーズの変更はマイナーなもので、例えば以下が挙げられます。
- フルサイズモデルの製造は1994年に終了
- 後期モデルでは、ブレスレットのセンターリンク、ステンレススティール製ベゼルのトライアングル、ブラックのダイブベゼルの外周にポリッシュ仕上げを追加
- ステンレススティール製モデルとゴールド製モデルのベゼルのディテールを変更し、後期バージョンではゴールドのインナーリングを廃止
- 1996年にブルーダイヤル&ブルーベゼルのモデルを追加
ラク・オバマ元大統領とタグ・ホイヤー 1500シリーズ ウォッチ
バラク・オバマ元大統領は、長年にわたりタグ・ホイヤーのダイバーズウォッチ「1500シリーズ」を着用していました。写真からは、1992年頃(ロースクール卒業直後) から着用し始め、ホワイトハウス時代にも少なくとも特別な機会に着用し続けていたことが分かります。オバマ元大統領が選んだのは、ステンレススティール&ゴールド製ケースとホワイトダイヤルの1500シリーズ ウォッチでした。